自分で遺言を作成するメリット・デメリット
1 自分で遺言を作成する際のメリット
⑴ 費用が最低限で済む
遺言を作成する方法としては、ご自身で作成する自筆証書遺言と公証役場に依頼する公正証書遺言があります。
公正証書遺言の場合は、公証役場で公証人が作成するため、公証人に支払う手数料がかかります(参考リンク:日本公証人連合会・公正証書遺言の手数料は、どれくらいですか?)。
自筆証書遺言の場合は、公証人に支払う手数料もかかりませんので、法務局に預ける場合の保管料くらいしかかからず、費用は安く済みます(参考リンク:法務省・自筆証書遺言書保管制度・手数料)。
⑵ すぐに作ることができる
公正証書の場合は、公証役場での公証人の空き具合などにもよりますが、事前の打ち合わせなども含め、作成には1~2か月ほどかかることが一般的です。
ご自身で作成される場合は、紙、ペン、印鑑を用意すればいつでもどこでも作成することができます。
2 自分で遺言を作成する際のデメリット
⑴ 法的には無効となるおそれがある
遺言が有効となる要件は、法律で厳格に定められています。
そのため、この要件を一つでも欠くと、遺言の法的な効力は失われてしまいますので、亡くなった方の想いを実現することができなくなってしまいます。
それどころか、中途半端な遺言があることで、その内容によって有利な立場になる方と不利な立場になる方との間で争いの火種になりかねません。
⑵ 相続や相続税に関する知識が必要
他方、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言であれば、法的に無効な遺言書にはならないかと思います。
しかし、公証人は遺言の中身までは関与してくれませんので、相続や相続税に詳しくないと、相続人同士の争いを回避したり、税の負担までを考慮した遺言を作成するのはなかなか難しいことと思います。
公証役場を利用されて遺言を作る場合でも、ご自身で遺言案を検討する段階で相続や相続税に関する知識が必要となることがデメリットといえます。